「ハードナッツ」感想など （その２） 第４話 「ラブレターと企業脅迫テロ」
第３話
第５話
第６話
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| 大切なあなたへ 私にとってあなたは、精力満点の栄養ドリンクのような存在。 いえ、誤解なさらないでください。 精力満点といっても今とっさにあなたが想像したようなふしだらな意味で申し上げたのではありません。 こんな私の気持ちを愛と呼ぶべきなのでしょうか？ それにはまず、愛という言葉を定義しなくてはなりません。 （以下略） |
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ＮＨＫのＢＳドラマ 「ハードナッツ 〜数学 girl の恋する事件簿〜」について。
前回は、古代ギリシャの数学者にして思想家、ピタゴラス、彼の業績とされる「ピタゴラス音律」、そして彼によって存在が否定された「無理数」が事件の影の主役を演じた。
今回活躍する「数学ネタ」は、「計量文献学」なる代物だ。
まずは、発端から。
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サエキ浄水社製の浄水器 「硬軟です」に異物が混入される事件が発生。（混入されていたのはカプサイシンで死亡者はなし） マスコミ各社に、犯行声明文が送られてくる。 長文だが、本稿の展開に欠かせない内容なので、全文引用する。 |
拝啓
水がおいしい季節でございます。
皆々様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
このたび株式会社サエキ浄水様の浄水器を使われた方々が体調を崩され病院に運ばれましたが、
幸いどなたも大事にいたらなかったと聞き、誰よりもほっとしているしだいでございます。
と申しますのも、カートリッジに細工をいたしましたのはほかならぬこのわたくしだからでございます。
サエキ浄水様の浄水器『硬軟です』は従来の浄水機能に加え、切り替えスイッチひとつで水が軟水にも硬水にも変るという優れものです。
私はこの浄水器をもっともっと多くの皆さまに知っていただきたいのです。
つきましては、これからは今までのものに替えまして本物の毒を、と申しましても致死量よりほんの少し多い程度ですが、
仕込ませていただくことにいたしました。
中身は変っても味の方は全く変わりませんので、皆様には今まで同様おいしい水をお召し上がりいただけるものと存じます。
なお、警察の皆様方におかれましては、お忙しい中私ごとき者のためにたいへんな捜査のお手をわずらわしますことを、重ね重ねお詫び申し上げます。
朝晩めっきり涼しくなりましたので、風邪などひきませぬようくれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。
捜査官によって「慇懃無礼でもって回った言い回し」と評されたこの文体、スタイルは異なるが、なんとなく、「グリコ・森永事件」の脅迫文が連想される。あの「キツネ目の男」が主犯とされる、あの事件である。
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ということは、ＮＨＫも自ら認めていることで、ＮＨＫオンデマンドでこの回を見終わると出てくる「関連番組」に、「ＮＨＫスペシャル 未解決事件 Ｆｉｌｅ・・・」とあるのは、日本初の劇場型犯罪と言われた「グリコ・森永事件」を扱ったものである。 左上は、初回のシーン。ちなみに、棒に細片を巻きつけて文章を書くことで、暗号化と復号を行うのは、古代ギリシャで行われた手法だそうだ。 （土曜ドラマ 山田太一シリーズがなぜ「関連番組」なのかは私には不明。でも、これは良いドラマである。若き日の水谷豊と桃井かおりが出ている。） |
もし、奇特にも本稿を読む方の中に、若い人がいて、「キツネ目の男？ 誰だそれ？」、「グリコ・森永事件て何だ？」と思われるのなら、是非、ＮＨＫオンデマンドに入会してＮＨＫスペシャルを見ることをお勧めしたい。（と宣伝しておく。）
「グリコ・森永事件」では、多数の脅迫文、もしくは警察を愚弄する煽り文が送られてきたが、それらが同一人物からのものなのか、あるいは犯行グループが少なくとも何人から構成されるのかを突き止めるために、文章の解析が行われた。
このドラマでも、何通かの文章が現れ、くるみによって解析される。
そこで使われるのが「計量文献学」である。
しかし、前の事件で冴えた推理を披露した、くるみに分析を依頼・・・という素直な進行を採らないのが、このドラマの良いところである。「君の意見が聞きたい」と、伴田刑事がくるみを頼りにするようになるのは、次回からである。
さて。
事件が世間を騒がせている間、くるみは、ある「課題」に取り組んでいたのだった。
なんと、計量文献学を用いて、「完璧なラブレター」を書こうとしていたのだった。それが、冒頭に紹介した文章である。作成に、不眠不休の３日を要した。アホだ。やはりこの子はアホだ。
くるみによれば、（以下は頭の中の声）
何に使うのかだって？
ふふふ。
ある男を使って、ちょっとした行動心理学の実験をしたいと思っているだけだ。
とのこと。
ラブレターを書きあげたくるみは、コップに水を汲んで飲み干す。視聴者の予想通り、サエキ浄水製「硬軟です」が使われている。そこで以下のようになる。
「このラブレターを受け取った人間は・・・・に、ん、・・・あれ？」
バタリと倒れると、そこは、デカデカと事件を報じる新聞紙の上である。くるみは、初めて事件の事を知った。そしてつぶやく。
「こうなんです」
↑
これって、すごく笑えるんですが。
「硬軟です」は、なかなか面白いネーミングだと思ったのだけど、くるみの台詞としてこう使うのかーと。
さて。
気力を振り絞って伴田刑事に連絡したくるみは、救急車で病院に運ばれる。
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病院にて 鑑識が浄水器を調べたところ、毒物は検出されず。病院は、睡眠不足と過労による体調不良と診断。 細かいことですが、伴田は、鑑識の報告書と診断書をくるみに渡していちいち確認させてます。普通、台詞だけで済ますところだけど、これは相手がくるみだからですかね。それとも刑事の習性なんだろうか。 この場面でのくるみの表情、なぜかけっこう色ポイです。 伴田刑事は、優しいです。 本当に心配してたようです。 最初のうちは、なんか暗いし、イケスカナイ印象だったですが、ドラマを見るうちに、好感度が上がってきました。 |
しかし。
色ポク見えた表情は、恥じらいによるものだったようです。
「犯人のために、あんな恥をかかされた」と憤るのでした。
逆恨みじゃん。
かくして、くるみは、にっくき犯人を突き止めるべく、ラブレターを書くために勉強した「計量文献学」を応用して、事件を解決に導くのでした。
というストーリだが、ここまでで、ようやくイントロ終了。
本論は何かというと、「計量文献学」に関する補足である。
とは言っても、基本事項について、くるみは簡潔かつ明快に説明している。この箇所、とても良くできていると思う。この部分を編集し、犯人推理の部分をもう少し丁寧に描いて「応用編」とすれば、立派な「計量文献学入門」になるのではないかと思う。
ドラマには
- 浄水器への毒物混入に関する犯行声明文
- サエキ浄水社長誘拐の通知と身代金を要求する脅迫文
- 社長が監禁されている場所を伝える、犯人の知り合いからのタレこみ文
- サエキ浄水を解雇された従業員が残した、告白＆遺書（服毒により死亡）
そんなことは分かっておるわいと言われるだろうが、待ってもらいたい。
くるみが解説したように、読点の打ち方とか、どの単語を漢字表記するかなどの情報も、個人の癖を抽出するための手掛かりとなる。
ドラマの中で、上の４つの文章すべてが、画像として写し出されることに、私は気付いてしまった。これを利用すれば、私にも「計量文献学」による解析が可能となる・・・。
「やるべきではないか？」
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文書映像データの例 左： １． 犯行声明 右： ２． 脅迫文 文書３と４にも映像データが存在することに気付いた私は、あるヒトツの考えに捕りつかれた。 |
私事で恐縮だが、自己紹介のところに記したように、私の趣味のヒトツは「比較言語学」という学問で、インダス文字の解読に、計量文献学を応用できないかと妄想を抱いて、ほんのサワリだけ齧ったことがあるのだった。
テクストは揃っている。やりかたも（多分）心得ている。
「やるしかないか・・・」
これで本論の中身が決まった。くるみの解析を追試するのだ。あとは突き進むのみ。
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左は、主成分分析という手法によって、text1からtext４における助詞の使用法の違いを２次元面内に表示して比較したもので、text1 が他の３つと異なる特徴を有していることが示されている。 しかし、この方法を分かりやすく解説する気力が、私にはない。というか面倒くさいので厭だ。 本稿で採用するのは、右側に示されている「クラスタ分析」という手法である。 なんといってもビジュアル的に分かりやすい。クラスタ分析でいくことにした。 |
| 右は、筆者がお世話になった参考書：「言語研究のための統計入門」（くろしお出版 ２０１０年）である。 ＣＤ−ＲＯＭが添付されていて、テキスト解析のためのソフトや、統計処理を行うEXCELマクロ各種、本文で紹介されている応用例などが入っている。いやはや、便利な時代になったものだなーと思う。 ちなみに、この本は、ちょっと真面目に取り組んでみようかという人のための入門書で、興味深い事例も載ってたりはするが、一般の人が読んで面白い読み物というものではない。 くるみが例に挙げていた、「ホントに源氏物語は紫式部一人の手になるものか？」、とか、「シェークスピアて、実はフランシス・ベーコンじゃない？」というタグイの面白い話しが載っている書物については、「蛇足」の項で紹介する。 |
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| 作業自体は、さほど難しいものではない。 まずは、くるみがやったように（右図）、テキストごとに品詞別の使用頻度を集計する。それをEXCEL上で表にまとめ、クラスタ分析マクロを起動すれば、上に示した系統図のようなグラフと、結果のサマリーが出力される。 品詞への仕分けは、そういうことをやってくれるソフトがある。引用書の付属ＣＤ−ＲＯＭに入っていた "Kh_coder" を使った。ただし品詞分類が、右のものよりやや細かく、たとえば名詞は、ひらがな表記のもの、漢字１文字のもの、及びそれ以外の３種に仕分ける。 このソフト、なかなかの優れ物だが、時々、単語の切り方がおかしいものが出てくるので、修正が必要。これが一番の手間だったりする。 |
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入力データは、品詞の使用頻度である必然性はない。テキスト間の違いを数字で表すものなら、何でも構わない。それが有効な指標であるかどうかは結果で判断すれば良い。品詞の使用頻度を選んだのは、くるみの採ったアプローチに従おうと思ったからである。（ただし、品詞分類カテゴリは、Kh_Coder様のご指示に従った。くるみ流は、上のグラフを見ると、ザックリし過ぎのような気がしたからである。）
細かいことを言うと、出力するための設定が色々とあり、いくつかは、ドラマの画面から推測されるのだが、度を超えて専門的になりすぎるので、詳細は略す。
結果である。
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ドラマでは、４つの文章の比較が問題となったが、単なる追試では詰らない。せっかくなので、二つの文を追加してみた。 Ｍｅ は、このＨＰの別ページで私が書いた文。 ラブレターは、冒頭に紹介した、くるみのもの。 やはりというか、最初の１．犯行声明文は、その他の文書とは別のグループに属し、２から４の文書が、ヒトツのグループを形成している。 社長の監禁場所を告げた「タレこみ文書」は、付録1に示すように、明らかに文体が異なり、他の２通とやや離れているが、犯行声明とは遠く、３つでグループを形成しているとみなすことができそうだ。 完全におかしいのは遺書で、「犯人」が書いたものであるハズなのに、犯行声明文と大きく離れており、誘拐通知文に近い。 ということで、メデタク、くるみが出した結果と一致した。 ちなみに。 犯行声明文は、「慇懃無礼で回りくどい」と評されたシロモノだが、私の文ともっとも距離が近い。 じぇじぇ！と一瞬落ち込みかけたが、すぐに気を取り直した。 |
卑劣な犯人が書いた文書のグループに入るくらいなら、濡れ衣を着せられて殺されてしまった男が書いたものと同じグループの方が、ましである。
と、書いたところでなんとなく不安が残ったので、もうヒトツ文章を加えて再解析してみることにした。
ここまでの流れに従えば、登場してもらう作者は一人しか思いつかない。
このドラマに素材を提供した「キツネ目の男」こと「かい人２１面相」氏である。
調べたら、やはり、ありますねー。本稿では、こちらのブログに載っている文章を参考にさせて頂いた。
なぜ「参考」かと言うと、「かい人２１面相」氏の文は、付録２に示すように、やたらとひらがなが多く、品詞抽出ソフトの Kh_Coderがうまく機能しないのである。そこで、氏には申し訳ないが、私の方で標準語版を作成させて頂き、それをソフトにかけることにした。もし関係者の中にお気を悪くする方がおられれば、それは私のせいでなく、Kh_coderを開発した、どこかの先生の責任であることを、お断りしておきたい。
「かい人２１面相」から送られてきた文書は全部で２０通ほどあるそうだが、本稿では私の記憶に最も鮮明に残っているものを選んで、下記のように翻訳した。
かい人２１面相 脅迫状 （標準語版）
食欲の秋だな。菓子がうまい。
菓子といえばなんといっても森永だ。 おれらが特別に味付けしてやった。青酸ソーダの味がついて少し辛口だがな。
虫歯にならないので子どもたちに買ってやれ。
辛口の菓子毒入りと書いた紙が貼ってある。博多から東京までの店に２０個置いた。青酸０．２グラムと０．５グラムの２種類ある。
１０日したら毒入りと書いてないのを３０個全国の店に置く。
そのあともたくさん用意してる。たのしみに待ってろよ。
森永乳業は製菓と違う。安全だぜ。
この脅迫文の最後で、森永乳業に被害が及ばない「配慮」を示したのは、いったいなぜだろうかと論議を呼んだそうだ。確かに不自然な気がする・・・。
ということは置いといて、以下の結果となった。
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そうかー。 怪人２１面相殿はここに来たかー。 私よりも、くるみと距離が近いのが、なんか悔しい・・・。 これを見ると、やはり私の文章は、犯行声明の作者に近いのかー。「「慇懃無礼」とは思わないが、やっぱり「回りくどい」のかもしれない。 ということが気になった場合、文のどういう特徴によって、このような区分けが生じたのかを確認することができる。 分析対象は７つの文章だが、筆者は５人なので、クラスタ数を５つとした場合の、各クラスターごとの統計データを出力した。 下表において、欄内の数字は使用頻度である。 緑色を付けた欄は、各項目について最大の使用頻度が得られたクラスター、黄色は最少頻度であることを示す。 よって、各行につき、緑（最大）と黄色（最少）が１つづづあることになる。この分布が、各クラスターに所属する文章の典型的な特徴を表す。 |
私の文の特徴を述べても仕方ないので、くるみ執筆のラブレター（第５クラスター）について使用語例を挙げた。
| 項目 | 第1ｸﾗｽﾀー | 第2ｸﾗｽﾀｰ | 第3ｸﾗｽﾀｰ | 第4ｸﾗｽﾀｰ | 第5ｸﾗｽﾀｰ | 語例（くるみ） |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 名詞 | 0.103 | 0.104 | 0.098 | 0.101 | 0.125 | 精力、栄養ドリンク、気持ち、言葉 |
| 名詞C | 0.021 | 0.010 | 0.016 | 0.043 | 0.031 | 愛 |
| サ変名詞 | 0.017 | 0.059 | 0.040 | 0.014 | 0.078 | 意味、誤解、想像、存在、定義 |
| 形容詞 | 0.007 | 0.003 | 0.007 | 0.000 | 0.000 | - |
| 形容詞B | 0.010 | 0.000 | 0.002 | 0.007 | 0.000 | - |
| 形容動詞 | 0.007 | 0.007 | 0.012 | 0.014 | 0.016 | ふしだら |
| ナイ形容 | 0.000 | 0.003 | 0.004 | 0.000 | 0.000 | - |
| 動詞 | 0.066 | 0.046 | 0.060 | 0.058 | 0.031 | 呼ぶ、申し上げる |
| 動詞B | 0.048 | 0.049 | 0.069 | 0.065 | 0.094 | する、いう、いく、なさる、なる |
| 否定助動詞 | 0.014 | 0.003 | 0.026 | 0.014 | 0.063 | ない、ん |
| 副詞 | 0.017 | 0.003 | 0.006 | 0.007 | 0.000 | - |
| 副詞B | 0.028 | 0.013 | 0.026 | 0.000 | 0.016 | まず |
| 副詞可能 | 0.017 | 0.003 | 0.018 | 0.014 | 0.000 | - |
| その他 | 0.552 | 0.531 | 0.481 | 0.529 | 0.406 | だ、の、は、て、で、etc.（少ない） |
| 私 | 0.010 | 0.013 | 0.013 | 0.007 | 0.031 | ラブレターだから多いのか？ |
| 。 | 0.034 | 0.020 | 0.058 | 0.094 | 0.063 | 多い |
| 、 | 0.041 | 0.078 | 0.046 | 0.000 | 0.031 | 少ない |
| 文書 | 脅迫状 | Me | 誘拐通知 | 怪人2１面相 （標準語版） |
ラブレター | |
| タレこみ | ||||||
| 遺書 |
注） 品詞Ｂはひらがな表記、Ｃは漢字一文字の語。名詞Ｂは、全体に用例が少ないので除外した。（入れても結果は変らず。）
くるみの文章の特徴は、
- サ変名詞（「〜する」という形を取れる名詞）が多い。語例には堅い語が並ぶ。男性的。
- 動詞Ｂ（ひらがな表記された動詞）が多い。柔らかい印象を受ける。女性的。
- 怪人２１面相の表記が異例なために色が付いてないが、句点（。）の頻度が高く、読点（、）が少ない。これは文の長さが短いことによる。連綿と続く文体ではないという意味において、男性的と言える特徴かもしれない。
第二に句点が少ない。つまり文章が長い。この特徴が、脅迫状との距離が近くなった要因のヒトツとなっている。確かに「回りくどい」印象を与える要因になっているかもしれない。なんとなく情けないのは、緑色（最大）が、実質的には１つもないこと。
ウ〜ム。（反省すべきなのかもしれない。）
一方、くるみの文は、最大（緑）と最少（黄色）を示す項目の合計が、最多の１０項目を数える。緑の数も最多の６項目である。
これらの考察から、私は、以下のように結論する。
くるみの文章は、男性的な力強さと女性的なしなやかさの両面性を合わせ持ち、メリハリの効いた個性的なものである、と。
ここで冒頭に戻り、改めて、くるみの文章を読み返してみる。私は、けっこう好きです。
（もっともこの文章、この後どう続くのかは、分からないのだけど・・・。）
でも権堂教授に叱られますね。「ラブレターなんか分析するな！ 感じるんだ！」と。
ということで
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今回の権堂教授
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私はタイヘンな間違いをしでかしてしまいました。前回の記事で、「権藤」と書いてしまいました。「権堂」でした。 追加情報！ 教授のお名前が判明。「篤法」と書いて「あつのり」。さすが「東都大の法の番人」にふさわしいお名前。感服しました。 今回は、ＴＶ出演の登場なので、くるみは叱られずに済みました。 でも、「企業トップの方と直接会ってアドバイスしていきたい」なんてことを言うもんだから、くるみが非常にヤバイ目に会うことになりました。 やはり今後も、この先生の言動には注目です。 |
次回の予告より
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いわゆる「ワイン方程式」がネタですかー。 残念ながら、私は、ワインにもワイン方程式にも興味はない。 しかし、割れたワイン瓶の破片についての、くるみの指摘には、「さすが！」と感心させられた。 次回は、多分、主に瓶の破片について論じることになると思う。 |
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蛇足： 「計量文献学」に関する参考文献
３冊くらい読んだハズなんですが、１冊しか手元に残ってない・・・。
「真贋の科学」 （村上征勝 朝倉書店 １９９６年）
です。この本の ４章 真贋分析の歴史に、「シェイクスピア＝ベーコン論争」とか、「源氏物語の宇治十帖問題」に関する記述があります。
付録１ ドラマに出てきた誘拐通知およびタレこみ文
Text2 誘拐通知文
拝啓
サエキ浄水の皆々様におかれましては、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
貴社の製品を最近店頭で殆ど見かけなくなってしまいました。私は、とても寂しく思っております。
さてこの度、貴社の社長・佐伯隆弘様の御身柄をお預かりいたします次第とあい成りました。
お返しいたします必要がございますれば、まことに勝手ながら手数料といたしまして
金１億円をご用意頂きたくここにお願い申し上げます。
お返事は、明朝の朝刊の尋ね人の欄で頂きたく存じます。
その際私の名は、三朗ということでお願いいたします。
カートリッジ用に用意いたしましたシアン化カリウムも余っておりまえ故、今後は、別の使い方も考えなくてはと思っております。
なお警察の皆様方には、忙しい折さらにお手を煩わしますこと、まことに心苦しく思います故、どうかご内密にお願いいたします。
Text3 タレこみ文書
サエキ浄水の佐伯社長が誘拐された件、ニュースで知りました。
犯人は私の知り合いではないかと思っての情報提供です。
まずもって連絡が遅れてすみません。
私が誰かは。決して詮索しないで下さい。
知り合いに繋がるかもしれない密告をすること、大変心が痛みましたが、これが社会のためになると信じています。
私のことを詮索しないことを条件に、情報提供いたします。
荒川第三鉄橋近くに小さな小屋があります。
そこから、時折うめき声が聞こえます。
もしかしたら佐伯社長はそこに監禁されているのかもしれません。
「遺書」は省略。
付録２ 「かい人２１面相」氏のオリジナル文
しょくよくの秋や
かしがうまいで
かしやったらなんとゆうても森永やで
わしらがとくべつにあじつけたった
青さんソーダのあじついてすこしからくちや
むしばにならへんよってお子たちえこおたりや
からくちのかしどくいりとかいた紙はっている
はかたから東京までの店に２０こおいてある
青さん０．２グラムと０．５グラムの２しゅるいある
１０日したらどくいりかいとらんのを３０こ全国の
店におく
そのあともぎょうさんよおいしてるで
たのしみにまっとれや
森永乳業はせいかとちがう
あんぜんやで
かい人21面相
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